
60代を迎え、終活を意識し始めたり、毎年の準備が負担に感じられたりすることから、年賀状をやめることを検討し、その文例を検索されている方も多いのではないでしょうか。
しかし、長年の習慣であるため、いざ辞退するとなると、親しい友達や知人への最後の挨拶をどのように伝えれば良いか、悩ましい問題です。失礼にあたらないように関係を終えたいけれど、失敗して後悔はしたくない、と考えるのは自然なことだと思います。
この記事では、そんな年賀状じまいを考えているあなたの疑問や不安を解消します。相手に不快な思いをさせず、今後も良好な関係を続けるための書き方のポイントや、様々な状況に応じた文例を具体的に解説していきます。
記事のポイント
- 年賀状をやめる際の基本的な考え方やタイミング
- 相手に失礼な印象を与えないための具体的な注意点
- 定年退職や相手との関係性に応じた様々な文例
- 年賀状じまいをした後も良好な人間関係を保つコツ
60代の年賀状をやめる文例|基本の考え方
- 年賀状じまいのタイミングと方法
- 終活の一環としての年賀状じまい
- 最後の挨拶で感謝を伝える重要性
- 年賀状の辞退を伝える際の注意点
- 年賀状をやめるメリットとデメリット
年賀状じまいのタイミングと方法

年賀状をやめる意思を伝えるタイミングは、相手への配慮を示す上で非常に大切です。最も一般的なのは、相手が年賀状の準備を始める前の11月から12月初旬までに連絡することです。これにより、相手が無駄な手間をかけるのを防げます。
伝える方法にはいくつかの選択肢があります。
伝える方法 | タイミングの目安 | 特徴 |
最後の年賀状で伝える | 12月中に投函 | 最も一般的で丁寧な方法。新年の挨拶と共に辞退の意を伝えられる。 |
寒中見舞いで伝える | 1月8日~2月3日頃 | 年賀状を出しそびれた場合や、喪中だった場合に適している。 |
事前に直接伝える | 11月~12月初旬 | 特に親しい間柄であれば、電話やメールで直接伝えるのも誠実な方法。 |
どの方法を選ぶにせよ、突然連絡を絶つのではなく、きちんと事前に伝えることが、これまでの関係を尊重する姿勢の表れとなります。したがって、ご自身の状況や相手との関係性を考慮し、最適なタイミングと方法を選ぶことが求められます。
終活の一環としての年賀状じまい

近年、60代以上の方々が「終活」の一環として年賀状じまいを選択するケースが増えています。終活とは、人生の終わりに向けて身の回りを整理する活動ですが、これは単に物を減らすだけでなく、人間関係を見つめ直す良い機会にもなります。
年賀状だけのやり取りになっている方との関係を整理し、本当に大切にしたい人との交流に時間や労力を集中させたいと考えるのは、ごく自然なことです。このような理由での年賀状じまいは、受け取る側も比較的理解しやすい傾向にあります。
ただし、伝え方には配慮が必要です。「人間関係の整理」という言葉を直接使うと、相手に冷たい印象を与えかねません。「終活を始めるにあたり」や「人生の節目として」といった前向きな表現を用いることで、あくまで自身のライフステージの変化に伴う選択であることを伝えられます。
要するに、終活を理由にする際は、関係を断ち切るのではなく、今後の付き合い方を見直すためのポジティブな一歩として位置づけることが、円満な年賀状じまいにつながる鍵です。
最後の挨拶で感謝を伝える重要性

年賀状じまいをする際に、最も忘れてはならないのが、これまでの交流に対する感謝の気持ちを伝えることです。ただ単に「今年でやめます」と伝えるだけでは、一方的で冷たい印象を与えてしまい、相手を寂しい気持ちにさせてしまう可能性があります。
長年にわたり、年賀状を通じて心温まるやり取りを続けてくれたことへの感謝を具体的に言葉にすることで、年賀状のやり取りは終えるけれども、相手とのご縁を大切に思っているという気持ちが伝わります。
「長年にわたり、あたたかい賀状をありがとうございました」や「毎年のお心遣いに心より感謝申し上げます」といった一文を添えるだけで、受け取る側の印象は大きく変わるものです。
この感謝の言葉は、年賀状じまいが「絶縁宣言」ではないことを示すための、いわば潤滑油のような役割を果たします。これまでの関係への敬意を示すことで、相手もあなたの決断を穏やかな気持ちで受け入れやすくなるのです。
以上の点を踏まえると、丁寧な感謝の表現が、円満な年賀状じまいのための基本であることが明確になります。
年賀状の辞退を伝える際の注意点

年賀状の辞退を伝える際には、相手に誤解を与えたり、不快な思いをさせたりしないよう、いくつかの点に注意を払う必要があります。
まず、個人的な感情で「あなたにだけ送るのをやめる」と受け取られないように、「皆様へ」や「どなた様にも」といった言葉を使い、年賀状を送っているすべての人に対して同じようにお知らせしていることを明確にしましょう。これにより、相手は「自分だけが関係を絶たれたわけではない」と安心できます。
次に、今後の連絡手段を具体的に示しておくことが大切です。「今後は電話やメールでお付き合いいただければ幸いです」のように、代替案を提示することで、「年賀状はやめるが、あなたとのご縁はこれからも大切にしたい」という意思表示になります。連絡先を明記しておくと、より丁寧な印象を与えます。
最後に、辞退の理由は簡潔かつ正直に伝えるのが基本ですが、相手を不安にさせるような表現は避けるべきです。例えば、体調不良が理由であっても、「寄る年波には勝てず」といった穏やかな表現を選ぶ配慮が求められます。
相手の気持ちを想像し、誤解を招かない言葉を選ぶことが、スムーズな年賀状じまいのための重要なポイントです。
年賀状をやめるメリットとデメリット

年賀状をやめることには、良い面と注意すべき面の両方が存在します。決断する前に、双方を理解しておくことが後悔しないための第一歩です。
メリット
最大のメリットは、年末の忙しい時期の負担が大幅に軽減されることでしょう。デザインを考え、宛名を書き、一言メッセージを添えるといった一連の作業には、多くの時間と労力がかかります。
また、年賀はがきの購入費用や印刷代といった金銭的な節約にもつながります。これらの手間や費用から解放されることで、年末年始をより心穏やかに、自由に過ごせるようになるのです。
デメリット
一方で、デメリットも存在します。最も大きいのは、年賀状が唯一のつながりだった人との接点が完全になくなってしまう可能性があることです。年に一度の近況報告がなくなることで、疎遠になってしまう寂しさを感じるかもしれません。
また、年賀状じまいをした後に「やはり再開したい」と思っても、一度辞退を伝えている手前、再び始めにくいという側面もあります。
このように考えると、年賀状をやめることは、時間的・経済的な解放感を得られる一方で、人間関係の変化という側面も持ち合わせています。ご自身のライフスタイルや価値観と照らし合わせ、慎重に判断することが求められます。
失礼にならない年賀状をやめる60代向け文例集
- 定年退職を理由にする場合の文例
- 親しい友達へ送る場合の文例
- 高齢や体力を理由にする場合の文例
- 喪中や寒中見舞いで伝える文例
- 代替の連絡手段を添える一言文例
定年退職を理由にする場合の文例

定年退職は、人生の大きな節目であり、年賀状じまいをするきっかけとして非常に分かりやすい理由です。仕事関係でお付き合いのあった方々へ、これまでの感謝と共に年賀状の辞退を伝えることができます。
文面を作成する際は、まず無事に定年を迎えられたことへの感謝と報告を述べることが基本です。「長年お世話になりました職場を、この度定年退職いたしました」と伝えた上で、「これを機に、皆様への年賀状は本年をもちまして失礼させていただきたく存じます」と続けると、自然な流れで辞退の意を伝えられます。
大切なのは、「会社を辞めたから関係も終わり」という印象を与えないことです。「今後は、電話やメールなどでご連絡させていただければ幸いです」といった一文を加え、プライベートでのお付き合いは続けていきたいという気持ちを示すことが、良好な関係を維持する鍵となります。
したがって、定年退職を理由にする場合は、感謝の気持ちと今後の関係継続の意思をセットで伝える構成を心がけると良いでしょう。
親しい友達へ送る場合の文例

親しい友達に対して年賀状じまいを伝える際は、定型的な文章よりも、少し心を込めた自分らしい言葉を選ぶのが効果的です。あまり堅苦しくなりすぎず、正直な気持ちを伝えることで、相手も理解しやすくなります。
例えば、「毎年の年賀状、とても楽しかったけれど、私も還暦を過ぎて、これからはもう少しのんびりしようと思ってね。だから、年賀状は今年で最後にさせてもらうね」といったように、親しい間柄ならではの口調で伝えるのも一つの方法です。
また、若い世代と同様に、SNSでの交流に切り替えることを提案するのも良いでしょう。「これからはLINEやFacebookで近況報告し合えたら嬉しいな」と具体的な代替案を示すことで、関係が途切れることへの不安を払拭できます。
要するに、友達への年賀状じまいでは、形式ばった表現に固執せず、これまでの友情への感謝と「これからもよろしくね」という気持ちを素直に伝えることが、最も心に響く方法と言えます。
高齢や体力を理由にする場合の文例

高齢や体力の衰えを理由に年賀状をやめるのは、誰にとってもいずれ訪れる可能性のあることであり、受け取る側も最も共感し、納得しやすい理由の一つです。これを伝える際は、相手に過度な心配をかけないような言葉選びが大切になります。
「私も高齢となり、筆をとるのが難しくなってまいりました」や、古くから使われる「寄る年波には勝てず」といった表現は、体力の衰えを穏やかに伝えるのに適しています。かえって相手を心配させてしまう可能性があるため、具体的な病状などを詳細に書く必要はないでしょう。
ただし、「体調が悪いわけではなく、元気に過ごしておりますのでご安心ください」といった一文を添える配慮も、相手を安心させる上で効果的です。
これらのことから、高齢を理由とする場合は、正直に状況を伝えつつも、相手を気遣う穏やかな表現を用いることが、円満な年賀状じまいにつながると考えられます。
喪中や寒中見舞いで伝える文例

年賀状じまいの意思を年賀状で伝えそびれてしまった場合や、ご自身が喪中で年賀状を出せなかった場合には、寒中見舞いを利用して伝えるという方法があります。寒中見舞いは、松の内(1月7日)が明けてから立春(2月4日頃)までの間に出す挨拶状です。
いただいた年賀状への返礼として寒中見舞いを出す際は、まず「ご丁寧な年始のご挨拶をいただき、ありがとうございました」と感謝を述べます。その上で、「誠に勝手ながら、皆様への年始のご挨拶は本年より控えさせていただくこととなりました」というように、年賀状を辞退する旨を伝えます。
この方法の利点は、おめでたい新年の挨拶状である年賀状で「やめる」という少しネガティブな内容を伝えるのを避けられる点です。厳寒の折に相手の健康を気遣う言葉と共に伝えることで、より丁寧な印象を与えることができます。
以上の点を踏まえると、寒中見舞いは、タイミングを逃した場合や状況的に年賀状が出せなかった場合の、非常に有効な代替手段と言えます。
代替の連絡手段を添える一言文例

前述の通り、年賀状じまいをする際には、今後の連絡手段を提示することが、関係継続の意思を示す上で鍵となります。これにより、相手は「年賀状だけの付き合いだったわけではない」と感じ、安心することができます。
具体的にどのような一言を添えれば良いか、いくつか例を挙げます。
- 電話やメールの場合 「今後は電話やメールにて、お付き合いをさせていただければ幸いです。私の連絡先は下記の通りです」
- SNSの場合 「これからはSNSで近況をご報告できればと思います。よろしければ、お気軽にご覧ください」
- より会うことを促す場合 「お近くにお越しの際は、ぜひお気軽にお声がけください」
どの表現を用いるにせよ、ポイントは「あなたからの連絡を歓迎しています」という姿勢を示すことです。
連絡先を明記するだけでなく、「ご連絡いただけたら嬉しいです」といったポジティブな言葉を付け加えることで、気持ちがより伝わりやすくなります。この一言があるかないかで、年賀状じまい後の関係性が大きく変わる可能性もあるのです。
まとめ:最適な年賀状をやめる文例は60代の状況で選ぶ
この記事のポイントをまとめます。
✓ 年賀状じまいは一方的にやめず事前に伝えるのがマナー
✓ タイミングは相手が準備する前の11月~12月初旬が理想
✓ 終活の一環として前向きな人間関係の見直しと捉える
✓ 最後の挨拶ではこれまでの交流への感謝を必ず伝える
✓ 絶縁と誤解されぬよう「皆様へ」という言葉を用いる
✓ メリットは年末の手間や費用、ストレスが軽減されること
✓ デメリットは年に一度の交流が途絶え寂しくなる可能性
✓ 定年退職は年賀状じまいをする自然な節目になる
✓ 親しい友達にはSNSなど新しい交流方法を提案する
✓ 高齢や体力が理由は誰しもが理解しやすい
✓ 心配させすぎない穏やかな表現を選ぶことが大切
✓ 寒中見舞いは年賀状で伝えそびれた際の有効な手段
✓ 年賀状をやめてもご縁は続けたい意思表示が重要
✓ 電話やメールなど今後の連絡手段を具体的に明記する
✓ この記事で紹介した文例を自身の状況に合わせて活用する